購入契約成立、そしてその後

 前回お伝えした、もはや店頭在庫を残すのみとなったエピフォン・ジャパン製レスポール。当時最安値(といっても自分の探したうちだけでの話だが)を付けていた店というのは楽器のサウンドマーケットという、九州は熊本八代にある楽器店だ。サイトトップのプレイヤーの立場に立ったサービスとの文言は、メールでやりとりなんぞをしてみると分かるのだが、実際嘘ではない。掲示板を見てもうかがえるだろう。親身というか、あるいはオーナー氏に愛好家の雰囲気がいい感じに残っているというか、丁寧のうちに人懐こさのする人柄が見えて、ああここで買おうと、値段のこともあったが、それだけでなくそう思えたものだから、実際私はオーダーを出した。

オーダーにいたるまで

 私はギターに関してはほとんどなにも分からないので、特にエレキなどはまったくといっていいほど知識がないものだから、そういうときは質問するに限る。

 貴店のサイトに紹介されていたレスポールに興味があるのだが、それは現行エピフォンの上位機種に相当するものと考えればいいのかと問えば、実質的に違うメーカーと考えたほうがよく、しかし作り仕上げ等はなかなか悪くない、そういった旨の返答があった。しかしそれだけでは決断にいたらず、その他ネットをさまよい再び身近の楽器屋をめぐって、情報やらなんやらを集め同時に意欲を高めたりもしてみて、結局ここに決めようと思った。

購入内訳

 購入しようと決めた楽器レスポール・カスタム(エピフォン・ジャパン)は品番にしてLPC-80。80という番号は値段を表していて、つまり定価八万円だ。なんか楽器ってこういう番号の付け方が多くて、私のアコースティックギターAriaAD-35は定価三万五千円。分かりやすくていいんだけど、ちょっと切ないなあ。いや、なんか、あまりあからさまでさ。

 さてさて、アコースティックギターなら楽器本体だけ買えば後はなんとでもなるのだけれど、エレキギターではそうもいかない。アンプがいる。アンプとギターを繋ぐシールドケーブルがいる。どうせならまとめて買ってしまったほうがいいと思って、とりあえずシールドを一緒に買うことにした。長いのはいらない、どうせうちで弾くのだから。でもそれ以前にどこのがいいかなんて全然分からないから、再び問い合わせてみると、カナレのものが一般的である、安価であるが耐久性、音の素直さはなかなかという返答。これに決定、3mを購入することにした。

送金、発送そして到着

 買うと決めれば話は早い。翌日夜に送金、その翌日に確認、けれど休日だったためまた翌日発送とのこと。発送時のメールには、弦高やオクターブチューニングは完了済みとあった。いや、これは嬉しい。元来面倒くさがりやで、加えてこういう調整が苦手なたちだから、本当にありがたいと思った。

 そして、楽器が到着した。いやあ、こりゃ目茶苦茶重いな。嬉々として梱包を解く。この時点ではまだアンプが用意できてないのだが、矢も楯もたまらずちょこっと弾いてみたら、生音は弱いというエレキなのに、結構響きが豊かで驚いた。ああ、本当に驚いた。定価八万でこんなだったら、三四十万のは一体どんなもんなんだ、この世のものじゃないのか、などとうろたえる。いや、ほんと、結構鳴るのだ。他のエレキを知らないからこんなものなのかも知れないのだが、第一印象はこんな感じだった。

打痕でへこんだ

 しかし、楽器の裏表を眺めていたら衝撃の事態が! なんと、楽器裏面に打痕ができていたのだ。これは運送中の事故か、それとももとからか? 梱包の段ボールを見ると、打痕の位置にかすかに凹んだ痕跡を見つけ、私もまた凹んだのだった。

 元来私はこういう事故には強いたちで、ほとんどこういう事態に出会ったことがないものだから、正直どうしたものか分からなかった。一時期は楽器屋に到着のメールとその際打痕ができていたという事実を告げ、これも運命だから受け入れよう、ショックだけど仕方がないなんていってたのだけど、そのメール出した直後に、やっぱり一度電話してみようと思い直して電話を入れた。

 そうしたら、それは申し訳のない事態だ、送り返して欲しい、対処したいとの申し出あり。それほどたたないうちに、さっき届けてくれた運送屋のおじさんが舞い戻ってきて、引き取っていった。いや、おじさんもいい人そうだったのよ。だから誰のせいにもしたくないのよ。これはもう運のものだと思うしかない。

 送り返す際には、家中から梱包材を探してきて、急ごしらえの中空装甲を作成。打撃に対しての防御性を高めた。だって帰る途中でまた打撃を受けるようなことがあれば、楽器もさることながら、自分がことさら凹んでしまう。まさに苦肉の策であった。

 あまりにショックだったので、こんなことがあったのよととある大きな掲示板で嘆いてみたら、よくあることだと、自分のときはこうだったと、嘆きの渦が広がってしまった。むしろ私のものはたいしたことのないものみたい。飛行機に乗せたら、ハードケースに入れていたにもかかわらずそれごと破壊された話だとか、もうすごい話盛りだくさんだった。実際、自分で運んでも傷むときは傷むからなあ。

 というわけで、楽器はとんぼ返りで帰っていってしまった。帰ってくるのはもう少し先の話になる。


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公開日:2003.12.16
最終更新日:2003.12.18
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