日本では目下梅雨の季節が続く。今年の梅雨は長く、多湿の中で見事に反っているのがギター教則本。「ギター・テクニック・ノート」も「能力開発エクササイズ」も、くるくると表紙がカールしている。だもんだから一日おきにひっくり返したり上に違う本を置いてみたり、とにかく反りがおさまるようにおさまるようにと色々やってみたけど一向に効果はなかった。
原因はまごうことなく湿気だ。表紙の表側にはられた素材の伸び率となにもはられていない裏側の伸び率が異なるために、湿度の影響を受けにくい表側にくるくると巻いてしまう。まあこれも自然の道理。
そしてギターも反る。ギターの最も反りやすい部分はいうまでもなくネック、棹の部分だ。
長続きする梅雨の湿気がギターに影響することを心配はしたが、さして目立った変化があるわけではなく、いずれ気にしなくなった。しかし毎日の練習の中で、それまで気になって仕方がなかった第4弦第11フレットのびびりが突然消えるという体験をする。なぜか? 単純な理由である。ネックが順反りすることによって弦高が上がり、少し高目だった第12フレットに弦が触れなくなったのだ。
ただ弦高が高めになると、押弦が少々やりにくくなる。押弦困難が影響するほどの腕があるわけではないので気にしていないが、びびらないようにすると押弦しにくく、弾きやすさを求めるとびびりがでるという、まあこれも自然の道理、当然のことなので、その時々のコンディションで弾ければそれでいいやと、少々のことは気にしません。
さてなぜ順反りなのだろうか。私のギター、指板はローズウッド、ネックはマホガニー製である。マホガニーよりもローズウッドの方が硬度がある。ローズウッドの方が湿度の影響を受けにくいのだろう。よって湿気で伸びるマホガニーは伸び、伸びにくいローズウッド側にネックは反る。とはいえ、こんなことがわかったところでなんにもならない。湿度が高いと順反り、低いと逆反り気味になるという、それだけのことだ。
最近、また4弦11フレットがびびるようになってきた。だから直きに梅雨は明けるのだろう。