ギターを弾くときには、きちんと音出しをしてやるといい。できればスケールを全調、ローポジションだけでなくハイポジションくらいまで弾いてやると、ギターの鳴りは随分と変わって、この時点が楽器の持ち味が一番よく出る状態なんじゃないだろうか。スケール片づけるのにだいたい30分前後。できればもう少し弾いてやれるとよいけれど、まずはこれくらい。
印象的に違いを見せるのはやはり高音弦だろう。第1弦とか第2弦とか、すなわちプレーン弦。最初のうちは細くて繊細な印象なんていっていたけれど、これが随分と違う。確かにスチール弦らしい高音の伸びるきらびやかさはあるが、そこに繊細なばかりであるとか、細さ、弱さというのは消えたと思う。
こうした変化の大本は、やっぱりボディが弦の振動により反応しやすくなってきたからではないかと思うのだが、ギターを弾くことで長く加えられてきた振動が楽器に好影響を与え、振動への反応性が高まるといったところだろうか。注意深く聴けば、低中音にも変化はあるはずで、そうした音域が高音を支えることで音の出が変わって聴こえるのではないかと思っている。
とはいえ、これもまだおそらく変化の途中であると思う。まだ音には硬さが残り、それは弾いている人間のせいなのか。そのあたりの状況は、またこれからはっきりしていくのではないかと思う。いや、はっきりして欲しいというのが本音だろう。
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