愛用のチューナー、ST1000が突然使用不能状態におちいったので、大変困ると、代替になるチューナーを物色することにした。
私のチューナーに求めることとは、基本仕様がしっかりしているもの。インジケーターに針が使用されていること。基準音を発振できること。そして、これは前回いってはいなかったことだが、ACアダプタを使用できること。ほら、電池で使ってもいいんだけど、長く使うとなればやっぱりACから電源を取れたほうが便利だから。
そんなわけで、ざっとチューナーを調べてみた。その調べてみた結果を以下に示す。
私がざっと簡単に調べて見付けたチューナーは以下の三点だった。
デザインがピンとこないのはどれもこれも一緒で、BOSSのあの白っぽいのはどうも好きになれないし、KORGは形はともかく色がシルバーというのがいやだ。セイコーにしても、使いやすさやバランスを考えればこういうかたちになるのだとは思いはするが、やっぱり好きになれない。
私にとっての理想のチューナーというのは、多分古いKORG製なのだと思う。私が吹奏楽をやっていた頃、時代がまだ昭和だった頃にリリースされていたような、質実剛健をそのままかたちに表したようなチューナー。色は黒で、電源をオンオフするスイッチ以外には、キャリブレーションを変更するボタンと、基準音を選択するボタンしかない。もちろんインジケーターは針式で、横長ボディの左端に寄せられているのが特徴だ。
針の両脇にLEDがつけられて、これで音程の高低を一目で目視できるようになっているのは、今回あたりをつけた三つともに同じで、これは非常によい。昔のチューナーもこんなだった(って年寄りの昔話か)。
カタログから読み取れる機能を見れば、一番シンプルにまとめられているのがBOSS。対して最も高性能にできているのがKORG。セイコーはその中間といったところだろうか。
無駄の殺がれたBOSSは非常に理想的であると思う。若干、あのプラスチックの質感に抵抗はあるが、だが、必要な機能だけにしぼられているというのは重要なことだ。多機能というのは便利なように見えてそうではない。いらない機能があっても邪魔なだけで、操作性の悪化にもつながり、さらには誤操作の原因にもなりかねない。なので、私は多機能を評価しない。BOSSのシンプルさは、非常に好感の持てるものであった。
対して最も高機能なのはKORGである。 A0-C8という、非常に広範囲にわたる測定範囲。多様な古典調律をサポートし、移調楽器の便利を考えたトランスモードも装備。うーん、正直あんまり心引かれるものではなかった。
A0-C8まで測定可能というが、ギターの音域はそんなに広くない。古典音律も多分一生使わない。私がチェンバロでも弾けばまた違う評価になるのだろうが、ギターや管楽器を演奏する分には高機能すぎて、そしてそれはほぼ無用といってよい機能である。
移調楽器をやるのならトランスモードが便利じゃないかといっても、記音、実音の読み替えなんてのは瞬時にできて当たり前のことであるから、これも私は使わない。なので、正直このチューナーは私には多機能すぎるのだ。
しかし、このチューナーは操作性を考えている。機能を詰め込みましたというところから一歩出ている。本体に取り付けられた大きなダイヤルが、今チューナーがどういう状態にあるかを一目瞭然にしている。いつつ並んだボタンは、基準音の上下、キャリブレーションの上下、そして調律の選択のためのもの。この区分けはよく考えられていると思った。
しかし、これは私の偏見なのだが、この大きなダイヤルを使った操作は使いやすい反面、ここから故障するような気がしてならない。 私には可動部品が多い機械は壊れやすいという思い込みがあるのだ。
チューナーはそれこそ10年ほども使う機械であるから、壊れにくいものであって欲しいと思う。シンプルさを重視するのはそういう理由もあってのことなのだ。
セイコーは上のふたつに比べると、目立った特徴というのは少ないように思う。必要機能にしぼっていること。音名の表示にLEDを使って、非常に見てわかりやすくなっているということは私にとってのアドバンテージであって、あるいは人によっては古くさく感じるところだろう。
このチューナーは型番を見てもわかるように、私の使ってきたST1000の後継機種なのだろう。驚くほどかたちが違っていて驚かされたのだが、だが後継機種ということは、おそらく今まで使ってきたものと同様のフィールで使用できるのではないかと期待できる。
そういうわけで、私には後継機種という点でセイコーがよいのではないかという思いと、シンプルさからBOSS、そしてスタイルからKORGを評価しようという思いがごちゃまぜになってしまって、どうにも決められない。
だから、ここは店頭に赴いて、実際にチューナーを見てみてから選ぶことにしようと決めた。実際のフィールや基準音の感じなどは、カタログスペックではわからない。