チューナー購入す

 チューナーが動かなくなって、別段慌てて買いにいく必要もなかったのだが、大阪に出る用事があったからついでに楽器屋に寄ってみることにした。目的はチューナーの現物を見ること。見て、実際に触れて、よいと感じたものを買うことに決めていた。その際、目星を付けていた3機種が全部揃うことはないだろう。だから、よほど店頭で見たものが気に入らない限り、その店の品揃えから選ぶことになると思っていた。

店頭にて

 店頭でチューナーを見せてくださいというと、あからさまにギターケースとわかる荷物を持っていたためか、ギターチューナーが出てきてしまった。いや、ちゃうねん。クロマチックチューナーが欲しいねん、とゆったら、この辺のがクロマチックですよと、安いのを指さして、ここではじめて調べをつけていた機種番号を告げて、それらは置いてないかと聞いたのだった。

 その店にあったのは、BOSS TU-12HKORG OT-12。残念ながらセイコーST-1100はなかった。

 ずっと気になっていたKORGのダイヤル式インターフェイスを試してみて、驚いたのはその軽さだった。私は頭っからこのダイヤルは固いものと決めつけていて、それこそ昔のテレビのチャンネルを変えるように、パチンパチンと切り替えるようなものだと思っていたのだったが、これがとんだ思い込み。ダイヤルは軽く、ほとんど力を入れなくてもスムーズにまわる。各項目に指標を合わせやすいよう軽く引っ掛かりはつくってあるが、回転を阻害するほどではない。好感触だ。無理に力を入れなくていいということは、つまり壊れにくいということにつながる。ダイヤルインターフェイスのわかりやすさもいい。実機を見て評価のあがったKORGだった。

 対してBOSSだが、これはずうっと以前からのロングセラーで、そのせいで機能的には充実していないという話であった。しかし私が驚いたのは、このチューナーには基準音を発振する機能がついていないのだ。そうか、基準音は音叉や別のものにゆだねるという考えであるのか、いずれにせよ基準音を発振できないのは私には困ったところだ。BOSS、選択肢から脱落。

 代わりに提示されたBOSSのチューナーが、TU-15だった。パネルにはいくつかボタンが並び、正直なところをいうと、押すまで内容のわからない、しかも変更のために何度もボタンを押さねばならないインターフェイスを私は好まない。その点において、TU-15はKORG OT-12に劣った。TU-15だと、現在のモードを確認するために液晶パネルを覗く必要がある。対してOT-12ならダイヤルの指標を見れば、どういう状況にあるかはわかる。

 クロマチックモードとギター/ベースモードを切り替えられるTU-15は実際に便利そうで、だが私の求めるシンプルな操作感は得られないかもしれないと思った。

 その後、音を鳴らしてみて、さして両方変わらぬ電子音。マイクの精度にしても、横で大きな音でシンセが鳴っているからか、口笛の音を拾ってはくれず、どっちも大差なしと判断。ならば、見た目のシンプルさでKORGを選ぼうと思った。

値段交渉

 値段交渉は効かないと思っていた。一度聞いてみて、無理ですといわれたら、その時点でネット通販を利用すると決定する予定だった。だが、思いがけず交渉が通ったのだ。しかも、当初税抜き価格として提示されたものを、とっさに税込み? と聞き返したことで、その価格が税込み価格になった。しかし、それでもネット通販の方が安かった。果たしてどうする?

 私は基本的に、店舗販売を重視している。店舗であれば、現物を見て、判断して購入することができる。しかし通販だとそれは無理だ。

 通販は店舗を構えるにあたってのテナント料や、多くの店員を雇用するための費用を減らすことができるので、税や送料を含めても店舗販売よりも安い値を提示できるというメリットがあり、そのため通販を選ぶ人は多いことだろう。しかし私は、やはり店舗ならではのよさを評価したいと思った。もしここで、試すだけ試して、見るだけ見て、はいさよならと通販を利用して、こういう客が増えればこうした店舗販売は立ち行かないだろう。潰れたらどうする? この問いは、楽器という一体一体の個性が違う商品を、通販で送られてくるままに買うという未来を選択するかという問いに等しい。私は若干高い価格を提示されて、ネットではもっと安かったとごねてさらなる値引きを迫るか、はいさよならと通販に行くか、あるいはその価格で購入するかという選択を余儀なくされ、しばし唸った後に、その価格で購入すると決めた。

購入

 かくしてKORG OT-12を購入と相成った。


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公開日:2005.04.23
最終更新日:2005.04.25
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