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OS Xにおける文書作成環境(欧文編)

 僕がOS Xに期待していたこと、それはなにかといいますと、最高に使い勝手のいいネットラジオ環境であるiTunesの存在もさることながら、OS Xが標準で多言語環境を有しているということ、これに尽きます。

 OS 9でもランゲージキットをインストールすることで、多言語環境の恩恵を受けることはできたのですが、僕はそれをしていませんでした。理由はふたつ。ひとつは、OSが肥大するのを好まないという性質によっています。ほら、たくさん機能拡張を入れると重くなるし、それに不安定になったらいやです。コンピュータはあくまでシンプルに、安定してるが一番です。つまんない奴だなんていっちゃいやですよ。そしてもう一つの理由は、インプットメソッドがごちゃごちゃして使いにくくなるためでした。

 ランゲージキットが入ったOS 9の言語メニューは、各国語のインプットメソッドがずらりと並んで実に壮観、実に満艦飾あるいは万国旗といった装いなのでありますが、僕は古いMacintoshユーザなので、日本語英語のスクリプト切り替えを、かな英数キーではなく、Command+Spaceで行うのです。これで切り替えますと、U.S.から日本語はいいんですが、日本語の次には中国語がきたりチェコ語がきたりアラビアがきたり、仕事になりません…… いや、昔、仕事で使ってたMacintoshにはランゲージキットを全部入れてたんですよ。単純に他言語を必要とする可能性があって、少なくとも中国語を使う可能性はあったもんだから、けど、あの使い勝手の悪さを思うと、自分のマシンにあれをやろうとは思いませんでした。

OS Xの言語メニュー

すっきりとしたメニュー[原寸大] さてさて、OS Xの場合はどうかといいますと、これが実にすっきりと整理できていい感じです。使用可能な言語の中から、自分に必要なものだけをピックアップしてメニューに配置することができるのです。変更は即座に繁栄されるので、ふと思いたって中国語を書こうと思っても再起動の必要はありません。普段は必要最低限にとどめ、使うべきときにはフルに機能を使うことができる。

 いうは簡単なことですが、実現するまでは長かった……。感動の嵐でした。

 言語の設定は、システム環境設定内の言語環境入力メニューで選択します。OS X 10.3 Pantherからことえりにアイヌ語なんてのが装備されてるのも確認できますよ。でも、アイヌ語は分からないよ。昔、朝日理科年鑑にアイヌ語での桜の呼び方というのがあって、でもさすがに忘れてしまいました。

 ちょっと、言語環境をのぞいてみましょう。

2バイト文字圏の入力メニューちょっとだけ
中国語から以下に並ぶ2バイト言語を眺む おおっ、ユニコードだ!
1バイト文字圏の入力メニューちょっとだけ
我がフランス語から以下に並ぶ欧米言語を眺む

私の選択

 必要なものを取捨選択できるOS Xの言語入力メニューですが、では僕が選んだのはなにかといいますと、以下の三種です:

  1. U.S.
  2. 英字(ことえり)
  3. ひらがな(EGBRIDGE)

 英字スクリプトが二種類、しかもことえりとEGBRIDGEが混在。なんでこんなややこしいことをやっているのかといいますと、それには理由があるのです。

英字:U.S.

 ひらがなをEGBRIDGEにしているのは、そりゃもちろん日本語入力用のインプットメソッドとしてEGBRIDGEを選んだ過去があるからなのですが、じゃあ、なんで英字もEGBRIDGEにしなかったの? といえばそれは仏文入力時に問題があるせいでした。

 仏文に現れるアクセント記号のついた文字を入力するには特別のキーコンビネーションが必要になってくるのですが、EGBRIDGEの英字スクリプトではそのキーコンビネーションを使っても文字が出なかったのですよ。最初、Pantherではなにか別に特別のことをしないといけないのかと、本気で悩みました。けど、ことえり英字だとちゃんとアクサン付きアルファベは打てたので、この時点でEGBRIDGEの英字スクリプトは脱落したのでした。

 じゃあ、なんでことえり英字のほかにU.S.スクリプトを使ってるのでしょう。実はことえり英字にも問題がありまして、セディーユ付きCの大文字が、なんでか分からないんですが打てないんですよ。Cセディーユはそんなに頻繁には使わないんですが、でもどうしても必要な文字なんです。

 ことえり英字でCセディーユが打てないのに気付いたのは、そいつは嬉しいね、と打とうとして打てなかったときでした。「それは嬉しい」、フランス語では、Ça me fait plaisir. この表現だけでなく、Çaはかなり広範囲に用いられる最重要語彙であり、しかも文頭に来ることが少なくない。だって「元気?」っていう挨拶が Ça va? でその応答である「元気だよ」が Ça va. サヴァ? と問えば、サヴァと答える。

 まあいいはじめればきりのない話でもありますが、とにかくÇが使えないとフランス語では話にならないので、文頭を小文字ではじめればいいという話でもあるけれど、僕はそんなことしたくない……。

 フランス語のためだけにU.S.が入っているという話でありました。

英字:ことえり

 英字スクリプトにU.S.を採択したということで、じゃあなんでことえり英字も残しているのかといいますと、これもまた問題があるからでして、これはDreamweaver、日本語ページ対策なのです。

 フランス語用にU.S.を選んだまではよかったのですが、実はU.S.では、なにが悪いのか分からないんですが、Dreamweaverの日本語ページ編集時に、先行してアクセント記号を打つ類いのアルファベット、アクサン−テギュやグラーヴ、シルコンフレクスがうまく入力されず、化けるのです。最初これに気付いたのは、Exposéって打ったときですよ。eアクサン−テギュが入力できなかったのです。

 はじめてこの問題にぶつかったときは、もう困りましたよ。その度にコードビューを開いて、実体参照を打たないといけないのか? そんな面倒くさいことやってられない! けど、いろいろ四苦八苦した結果、ことえり英字で打つと大丈夫らしいということが分かって、普段、Çに遭遇するまではことえり英字を使って、Çを打つ必要が出たらCommand+Option+Space連打で入力スクリプトをU.S.に切り替えることに決めました。

 さて、Dreamweaver日本語ページ上での仏語入力にはことえり英字である必要があります。ということは、Dreamweaver日本語ページでÇ大文字は打てないんですね。こればっかりは、コードビューで手直ししてやらんといけません……。

次回予告

 今回は欧文文書作成環境について書くつもりだったのに、欧文文字入力環境にとどまってしまいました。次回こそ、欧文文書作成環境について書きますぞ。


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公開日:2003.12.08
最終更新日:2003.12.11
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