最終更新日：2008.12.11
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iBookを購入して以来、私の使ってきた日本語入力ソフトはegbridgeでありました。これは本当にいいソフトで、その時々の最新の機能を取り入れるという貪欲さも素晴しければ、アップデートの速さに関しても特筆ものでした。なにしろOSのメジャーバージョンアップがあったら、対応アップデータをOS発売日にリリースするというほどの意気込みを見せて、それはそれは頼もしい、そう思わせるなにかがあったのですが、まさかそのegbridgeがもうバージョンアップされることがないだなんて……、そんな事態に陥るなんて……、まったく予想しないことでありました。
egbridgeを開発、販売する会社、エルゴソフトが2008年1月28日にパッケージソフト事業から撤退したのですね。それは本当にショックなことで、けれど実はそういう話は伝え聞いていた、だから私はegbridgeが失なわれた後のことを考え、万年筆に復帰、そしてその心配が実際のものとなって、コンピュータを中心とする生活を放棄、手帳を購入し、それまで以上の脱コンピュータを図ることとなったのでした。
とはいいましてもね、現実的にまったくコンピュータを使わないっていうのはやっぱり無理なんですよ。いうまでもなく、このサイトにしてもあるいはBlogにせよ、コンピュータがなければ更新できないわけでしょう？ さらにいえば、動画を編集してアップロードするのも、コンピュータがなければ難しい。だからその重要度をさげる程度の話でしかありません。私は変らずコンピュータを用いて思考し、コンピュータを用いて作文するのです。その時、私の傍らにはegbridgeが寄り添っています。ええ、なにも変ってなどいなかったのです。
ですが、ついに日本語入力ソフトの変更に踏み切りました。egbridgeに不都合、不具合が出たわけではありません。ましてや不満などあろうはずがありません。ただ、いつかこのソフトが使えなくなる日のくることを思えば、その機能を代替するものを見付けておきたい、そのように考えて、ついにその行き着く先を見付けたのでした。それはなにかといいますと、SKKです。
UNIXはEmacsに発する日本語入力ソフトウェア、それがSKK。しかし、私はMacintoshではEmacsを使っていないので、Emacs用のSKKであるDaredevil SKKでは具合が悪い。と思っていたら、なんと、ちゃんと、OS X上で動作するSKKも存在するのですね。それが、AquaSKK。これは実にいい感じです。なにがいいといっても、SKKはEmacs用のDaredevil SKKがあり、Windows用のskkimeがあり、そしてMacintosh用のAquaSkkがあり、このほぼ同一環境を異なるプラットフォームで実現できるということの素晴しさです。だから私は、まず職場の計算機、EmacsでDaredevil SKKを試し、それが結構悪くなかったものですから、skkimeを導入し、そうしたらそれも結構よかったものですから、ついには自宅のMacintoshにもAquaSKKを導入したのでした。SKKの導入は昨日のことでした。もうすでに、インプットメソッドは変更済みであったわけですね。ですがアウトプットに影響はなかったはず。多少癖のあるインターフェイスですから、慣れるのに時間が必要かと思われましたが、実際に使ってみれば、一日で問題なく使えるレベルにまで漕ぎ着けて、だからあと何日か使えばすっかり慣れてしまうことでしょう。
AquaSKKには、egbridgeユーザーだった人が少からず流れてきているようで、そうかあ、誰しも考えることは同じなのだなあ。なにしろ、わざわざインプットメソッドを買おうという人ですから、アップル謹製のことえりで満足できない、しかしegbridgeは失われてしまう。この状況を前に次なる選択肢を考えるに際し、より性能の高いものを求める人はATOKに流れ、けれど自分はATOKには馴染めないという人はことえりを選ぶのでしょう。ですが、それ以外の可能性を探し、そしてSKKにたどりついた人もある。そのうちのひとりが、他ならぬ私です。