Lの季節2

現実界復帰、香野由香攻略戦の開始

 純耶佳奈ルートをコンプリート。それでようやく気が済んだとでもいうのか、やっとこさ現実界に復帰した。二度目の現実界攻略。初回プレイは自分のらしさに素直に従うというルールがあるため、攻略に特化したプレイは、現実界においては、これがはじめてといえるだろう。

 ただし、最初に断っておくと、今回書けることはたいしたことのないことだ。前々回、純耶佳奈攻略戦において、ひと月、結果が出るまで間を空けてみたところ、ずいぶん抜け落ちた感想も出てしまった。だから、一回一回は少なくとも、小まめに取り上げるほうがよいのではないかと反省したわけだ。

 といったわけで、香野由香攻略戦を開始。ただ、全然進んでないぞ。だって、河瀬はまだSEの存在を知らないのだから!

進捗状況

幻想界
澪泉 双葉エンド (1)、純耶 佳奈エンド (1), (2)クリア
現実界
香野 由香エンド (3), (4), (6)クリア

香野由香攻略戦、まだ序章ですらない

 このゲーム、幻想界と現実界に別れたルートを追うにあたって、それぞれの雰囲気の違いというのが馬鹿にできないほど大きいところが面白い。私は数日前まで、いやになるくらいに幻想界を反復して、それはひとえに既読率を100%にもっていくためであるわけだが、この一種不毛なプレイで疲れた心を再び鼓舞するような新鮮さが感じられたのだ。これは現実界が幻想界に比べて優れているといっているわけではない。これと同じ感覚は、純耶佳奈攻略戦を開始した時にも得られた。現実界の既読率を上げる試みにつかれた私は、幻想界に新鮮さを見出していたのだ。読み進む世界を変えるというのは、それくらいに大きな効果を持っている。攻略のために反復プレイを強いられる。ふたつの世界に別れているという構成は、こうしたゲームにおいては避けられないマンネリ感を軽減する、実によいアイデアであると思う。

 幻想界から現実界に移ってきて感じるのは、そのベースにしている世界が、我々の現実により近いというところだろう。学校の授業の風景、教師の出席をとる声に忘れかけていた昔、学生時代を思い出す。彼らの学生生活は、より理想的で、夢想的ではあるが、決して非現実的ではない。我々の現実に寄り添って存在する、それが『Lの季節』における現実界であり、そしてその現実は揺らぎ、非現実に落ち込んでいく。徐々に色を変えていく風景、君のその今踏み出そうとする一歩が、さっきまでいた確かな現実を置き去りにする――。現実界をプレイする面白さは、現実の危うく揺らぐ、その感覚にある。

 とはいっても、私はやっとこさ香野由香に出会ったところ、語れるところはほとんどない。それこそ、香野由香はかわいいなあ。あのゆったりとしたしゃべり口、ちょっと冗談めかした口調に、心が丸ごともっていかれそうだよ。そんな馬鹿な話しかできないよ? いや、馬鹿なのはいつもどおりか。けど、馬鹿でいいんだ。自分が馬鹿な男子であることは、前作ですでに確認済みだ。

 といったわけで、今回は馬鹿な話。質より量を目指します。

 星原さんに出会う図書室、あそこで星原さんが絶世の美人みたいにいわれていることに少々違和感を感じて、というのは、前作において彼女は果たして美人とされていたっけか? ということなのだが、私の記憶が正しければ、彼女の印象は、あらゆるものがこぢんまりとしている、そんなものだったような気がするのだが、どうだったろう。しかし、今回の思い掛けない星原さんとの遭遇、何度読んでもドキドキするね。もし星原さんと出会えるというのなら、七角ペンダントの所有者になってもいい。いや、嘘。けど、そう思わせる魅力のあるシーンでありましたよ。

 星原さんと遭遇後、図書室に残れば鵜野杜さんと、星原さんを追えば天羽さんと交流を持てるわけだが、その天羽さん、初対面から飛ばしすぎ。噂なんぞ知らんといっても、ものすごく深刻な面持ちで説教してくれて、天羽さん、それじゃだめだよ、なんて思うのだけど、けれどそういう真面目さが彼女のよさなんだろう。とりあえず、私は天羽さんのことは全肯定するようにできているようなので、いかにも参考にならん意見であるけれど。

 菜々瀬駒子と夏原修一との楽しい昼食。選択によって出てくる次の会話がちょっと面白かった。

Real #007 : 共通・納得材料

夏原修一「あれだろ、自分が読む本すべての図書カードに香野の名前があって……ってやつだろ。香野なら有り得る」

菜々瀬駒子「あの二人は絶対に上手くいくもんか」

 あの二人は……? 月島雫と天沢聖司のことか……。月島雫と天沢聖司のことかー!

 うう、語呂が悪いな。ともあれ、これって明らかに柊あおいの『耳をすませば』を意識していて、けど今の高校生が『耳をすませば』って知ってるんだろうか? いや、映画にもなったしな、見てないけど。調べてみると、映画になったのは1995年、『Lの季節2』の物語世界が、『Lの季節』の発売年である1999年の翌年、すなわち2000年であるなら、彼らが『耳をすませば』を普通に会話に出してきてもおかしくなさそうだ、とはいってもそこまで突っ込む必要なんてない小ネタなんだけど、なにぶん面白かったもので。

 なお、月島雫と天沢聖司のような出会いは、2000年の時点ですでにありえない。昔の図書館だと、本の裏表紙を開いたところにポケットが取り付けられていて、そこにその本を借りた人間の名前がずらずらと記載されたカードがささっていたりしたものだが、しかしこの方法、ニューアーク式というんだが、にはプライバシー上の問題があるということで、現在ではすでに廃されてしまっている。あるいは、田舎にいくとまだやっていたりする図書館もあるのかも知れないけど、しかしもうないと思うがなあ。なので、今となってはもう『耳をすませば』のような物語は成立しないわけだ。

 そうだ、図書館についてもうちょっと。といっても脱線ではなく『Lの季節』の物語世界、聖遼学園の図書館について。

 これはちょっとした矛盾であるのだが、実は聖遼学園には図書館がちゃんと別にある。前作プレイヤーならご記憶のことと思うが、聖遼学園には独立した図書館があって、しかし昨年は改装工事中につき立ち入りが禁止されていた。図書館にいこうとする上岡が、東由利鼓に出会い、工事していることを告げられ、それで図書室にいくことになるのではなかったかな。私がこのプレイ記において、一貫して図書室といっているのは、図書館が別にあることを覚えているからで、それゆえに今作では忘れられているように思える図書館に対しては、寂しさの情を禁じえない。いやね、構わんのだけどね、なにぶん昔のゲームであるわけだし、それにストーリーに影響しないレベルのことであるし、けどやっぱり残念ではあるんだね。

 とまあ、今回はこれくらい。いい感じに、どうでもいい話ばかりになりました。ネタバレ防止の必要、どう考えてもなかったような気がする。でも、気にしない。


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公開日:2008.08.06
最終更新日:2008.08.06
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