代金振り替え後、ZO-7は程なく到着。結構しっかりとした梱包で安心、中身を確認してまたも安心。持ってみた感じは軽く、レスポールの重さが念頭にあったからかも知れない。レスポールは、4キロを超えているのだ。
ZO-7にはすでに電池が入れられていたので、到着後すぐに弾くことができた。だが、ZO-3のシリーズはストラップなしでは弾きにくい。以前に買ってまったく使わないでいた、心持ち細目のストラップを出してきてつける。多くの人がストラップピンの初期位置(ヘッド裏)に不服で、これを付け替える改造はもう基本であるといっていいくらいのものだが、私はなんといってもデフォルト大好きなので改造なんてまったく考えない。三味線で結構メリケン粉である。
準備ができれば、まずはチューニングだ。ヘッドに角度の付いていないギターははじめてなので、なんだか頼りなく感じる。ペグもなんだか小さくて回しにくく感じるが、これも慣れだろう。なおチューニングは、下からBEADGBE。ダダリオの弦のケースに書かれていたままにチューニングしている。
私はギターを弾く時はいつも座って構えるのだけど、ZO-7は座っては弾きにくく、そんなわけで立って弾くことが多い。いや、もちろん座っても弾くけど、この楽器にかぎっては立奏のほうが弾きやすく感じる。だが室内に立って弾いてると、なんだか手持ちぶさた感が出てしまうので、そこがいけない。正座して、完全三味線スタイルで弾いてやろうか、どうだろうか。
内蔵アンプの音は、一言でいうと小さい。ぼそぼそとした潤いにかける音というか、結構荒々しくて楽しくなる音というか。けれどなにより音が小さくて、ドレッドノートに負けているというのがおかしい。でもまあそのへんは仕方がない。出力の小さなアンプに、口径の小さなスピーカーなんだから、これで耳をつんざくような大音量が得られたりすれば、そっちの方がよっぽどおかしい。
内蔵アンプの利点は、ちょっと思い立ったときに弾ける気安さだろう。楽器を取り上げてスイッチを入れれば、それでもう弾きはじめられる。普段から結線してセッティングしてあれば別なんだろうが、普通の暮らしにそれはちょっと難しい。エレキの面倒は、弾こうと思ったときに、楽器を出して、アンプを出して、電源繋いで、結線して――、手間が多すぎる。その点、ZO-7はぐっと身近で、それが嬉しい。電源を入れる、ボリュームノブを回すという手間はあるが、そんなのは些細なことだ。
電池は、意外と持つ。もっとすぐなくなるかと思ったが、ちょっと休ませておくと適当に回復していて、また十分十五分くらいは弾けるようになる。だから、まだ一度も電池を換えたことがないんだ。いや、もちろんもっと弾く時間を増やせばそんなわけにはいかないんだろうけれどもさ。
電池が弱ってくると象の目の光が弱くなって、音も不安定に揺れはじめる。普通はここで電池交換になるんだろうが、私はここでドレッドノートに持ち替えてしまう。だから、あんまり参考にならないね。
そして、ZO-3シリーズは外部アンプを使うこともできるのだ。
はっきりいってそれほど期待していなかったのだが、アンプを通したZO-7はちょっとすごい。内蔵アンプを使っていたときとは、まったく違う楽器くらい印象が変わるからたいしたものだ。ちょっとした気安さだったものが、こいつは気合い入れていかんといかん。そんなふうな変わりように驚きつつ好感を持てる。
アンプはVOXのPathfinder 10だ。素直な印象があるといっていたアンプのせいもあるのかも知れないが、ZO-7の音も相当素直だ。まっすぐに、気持ちのいい音の出方をする。高音なんかはよく伸びるし、低音もどっしり豊かだ。しかし中音域がいい。痩せてない、負けてない、コストパフォーマンス高い、よいギターだと思う。実際使い物になるギターだと思った。
出力の弱く当然スピーカー口径も小さめのアンプを使ってるので、実は重低音というのはあまり体験していない。けれど、10Wのアンプでも、結構な音圧があるのだ。スピーカーの前に座ってぼんぼん7弦を弾いてみれば、どしどし音が前に出てくる。風が吹いてるみたいになって、いや、これすごいね。大きなアンプを使ったらどんなにかなるだろ。今度、人のを使わせてもらおうか。きっともっとすごいだろう。
そんな感じに、可能性の広がるのが新楽器購入の楽しみと思う。ならば、充分に可能性を広げてくれるZO-7はよい楽器だ。他の7弦ギターがどんなのかは分からないが、コストパフォーマンスからいえばZO-7にかなうものはあるまい。
いや、ほんと、よい買い物をしたと思うよ。まさに、しめしめといった感じだ。