スケール・アルペジオが終わらない

 年末年始の休みをまとめて得ることができたので、こいつは幸いと、持てる時間のかぎりギターの練習に費やすと決め、実践。実際のところは、起き出してくる時間が遅いためにそれほどたくさん練習できたわけじゃなくて、これは単純に私の反省すべきところだな。ともあれ、午後に入った頃からスタートして、夜六時過ぎ七時前くらいまで練習をする。ただ途中には休みが入るから、実質多くて四五時間というところだろうか。

 これだけ弾いたというのなら、さぞいろいろできたろうと人は思うだろう。実際私もそう思っていたよ。この時間的余裕を最大限に生かして、今まで時間が足りなくてできてなかった練習をできると喜んだものだし、買うだけかってほとんど弾けてないレスポールも弾けると思ったし、昨年末に買った七弦ギターとの弾き比べもできると、それはそれは期待したのだったが、一体どうしたことか、一向練習ははかが行かず、結局レスポールは一度も出さず、七弦もほとんど弾くことなく終わってしまった。

 なぜか? なぜこんなことになったというのか? 理由は簡単で、音階練習が終わらなかったためである。

練習の時間配分

 ギターを弾きはじめて最初は、単純な指のトレーニングである。具体的には『ホセ・ルイス・ゴンサレス』の序章をやる。これをきっちりこなす。右運指の組み合わせも全部やる。そうすると、この序章を終えるだけで一時間前後かかる。でも時間はまだまだあるはずだ。

 序章が終われば第一章、スケールに入る。スケールは、ロー・ポジションで全調、ハイ・ポジションでまた全調。それと追加のものも練習して、これを終えるのには一時間ちょっとかかるくらいだというのに、なぜか、このスケールが終わらないのだ、一向に。次のアルペジオ練習に入る兆しすらない日もしばしば。憑かれたように一日中スケールをやっている有り様であった。

 原因は分かってるんだけどね。だいたい上がる下がるを二往復くらいするのが一般のところを、だいたい四往復くらいしてるときがある。うまく弾けない音階があれば、十回も二十回もやってる。そりゃ終わらないわ。指が痛くなってくるとちょっと休憩。復帰してまた音階。だいたい音階を終えるのに三時間くらいかかってたかな。そりゃ、練習終わらないわ。

 音階の章の最後に応用練習曲があって、これもだいたい一時間くらいやってる。いや、そりゃ練習が終わるわけがない。

 調子と運がよければアルペジオの練習もできたさ。でも3音のアルペジオでだいたいまた一時間くらいかかる。4音のアルペジオはちょっと短め、十分二十分くらい。でもこの時点で人間の限界なのか、単に自分の我慢が足りないのか弾けなくなってくるので、練習の第一部終わりとなる。

 第二部は『演奏能力開発エクササイズ』なんだけれど、これも終わらない。さすがに疲弊してるので要点だけで精いっぱい。これが一段落つくころには、もう寝る時間だよ。それに、そもそもここまでたどり着けたことの方が少ない。

最終日

 年始休暇の最終日、早起きをして練習に備えたのだ。

 朝の十一時頃スタート。これでかなり先に進めるはずだったのに、夜七時時点でアルペジオが終わってないってどういうことだーっ。

 いや、そりゃ途中で休憩もかねて、『22才の別れ』歌ったりもしてたけどさ。『禁じられた遊び』をつま弾いたりもしてたけどさ(ようやく前半がテンポで弾けるようになった! 後は精度だ)。それでも、これだけ弾いてアルペジオが終わってないというのには、自分であきれはてた。

 夕食後にアルペジオの続きとエクササイズなのだが、結局はレスポールの出番はなく、アンプに電気が通ることもなかったのだな。

練習の結果

 連日の音階練習の結果は、結構たいしたものだった。

 まず、指がしっかりとした。弾く指も押さえる指もどちらも弱さがなくなってきて、音に響きが加わったのは正直嬉しい。ただ練習末期には指が疲れてくるためか、弦を弾ききれず、途中で止まることもしばしばだったのだけれど。

 左手指に筋力がついてきていることが自分でも分かる。だって、一日中筋肉痛で指が痛いんだもの。力で弦を押さえつけるんじゃなくて、必要充分な分量だけ押さえ、なのに弾弦でぶれないようになってきている。セーハも全弦を安定して押さえられるようになってきた(つまりまだまだ駄目ということ)。

 右手指。弾く力がついたこともそうだが、弦をとらえるコツが少し見えてきたように思う。ただ指先は痛む。薬指がひどく、この休みの間、水泡が消えることは一度もなかった。けど最初に数分弾けば痛さは気にならなくなる。そのせいで夜には指が腫れるのだが、一晩寝れば治る。弾けば痛みも治まる。最終日には中指にも水泡ができたが、これも同様。寝れば治る、弾けば治まる。

 右肘が痛い。この兆候は正月前後から出ていた。なにもしていないのに、ときに痛みが走る。これはまず腱鞘炎の疑いがある。中指薬指の交互弾弦が負担になっていたのだろう。これ、ちょっとまずい。

 背中が痛い。肩から背中にかけてひどい凝りで夜眠れないので、湿布を貼る。体がかたいので、背中に湿布を貼るのは一苦労だ。練習中、少しでも血行をよくするために、張る懐炉も装着。これで多少はまし。ストレッチするとばきばきいう。

 足が痛い。なんでか知らないけど筋肉痛。特に右足。腿のあたりが痛い。なんでだろう。ギター弾くのに足は使ってないと思うんだが。そういえば、ビブラートをかけるには足の筋肉が重要という話を聞いたことがあるなあ(嘘、信じないでね!

 尻が痛い。左足のつけね。ほら、足台使ってるから。体重とギターの重さ(といっても1Kgちょっとだけど)を全部ここで受けてるんだろうか。とにかく痛い。座布団二枚重ね。それでも痛いので三枚重ねにしたら安定が悪いけど仕方がない。いろんなコンディションで弾けるようにする練習と思おう。でも痛い。すごく痛い。

 目がしょぼしょぼする。楽譜見てるから? ほとんど覚えてるというのに? 指板見てるから? いや、なんでなんだろう。もしかしたら、指先鍛えてるから? これに関しては謎がいっぱいだ。

 以上こんな感じ。辛いが、けど楽しかったかもなあ。音階、結構好きなのかもなあ。せっかく持ってるギターを全然弾けないのも困ったもんだけどなあ。

追記

 この状況をギタリストに嘆いたら、たくさんの音階とアルペジオは成功への近道だといってくれた。いやあ、これは正直嬉しいなあ。今年いっぱいは、音階で頑張ってみるかな。


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公開日:2004.01.05
最終更新日:2004.01.05
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