ギターはじめた頃を思い出す

 こととねストリングス倶楽部における最も古い記事は、2003年の2月、ZOLELE購入顛末記であった。この記事を見れば、私がギターをはじめてから四ヶ月が経っていたとわかる。そう、私が最初のギターを買ったのは2002年の10月末のことで、だからこのサイト上には、本当に最初の練習風景は記録されていない。

質問を受けた

本当にギターを始めたばかりのころは、どの程度日々練習しておりましたでしょうか?

 掲示板にて、ギターをはじめた頃の練習時間について質問を受けて、本当の最初期を思い出そうとした。あの頃はそれほどギターに打ち込むつもりもなくて、つまらない日常を歌ってごまかせる程度に弾けるようになればいいやなんて舐めたことを考えていて、けれどまったく練習しなかったわけではなかったな。足台を使うかどうかは決めていなかったから、ビデオテープ10巻パックの箱を使っていて、これ、使っているうちにつぶれちゃうんだね。まあ、中身がらんどうの紙箱だからしかたないんだけど、どうせならしっかりしたのを使った方がいいかなと考えて足台を買った。あの頃はギターを弾く私というのは家の中でも持て余されていて、廊下に出たり、和室にいったりと練習場所は点々としていた。

 まあ、そんなことはどうでもいいや。

最初の教本

 その頃、私が使っていた本というのはヤマハから出ていた『アコースティック・ギターが弾ける本』。基本的にフィンガースタイルよりの本で、だから最初は、単音で四分音符を弾くだけの練習とか、そういうのをやっていた。ほら、私は真面目だから。いや、チャレンジ精神がないともいう。とにかくm-i-m-iを繰り返して、疲れたらやめみたいな、そんな練習だったような覚えが……。

 それこそ最初は全然焦ってなかった、ぽろんぽろんと適当にアルペジオでも弾いて、好きなシャンソンでも歌えればいいかなあなんて、そんな具合で、そういえばちっとも『脱走兵』を弾いてないな。『脱走兵』で記事を書いたのが2003年5月で、ギターをはじめたのは前年の10月だから、この頃にはまだほとんどFを押さえられなかったはず。確か、どうにか止まらず弾けるようになったくらいがこの5月ごろだったはず。そもそも私はFに関しては、誰もがギターを挫折する最初の山(いや、誰もがという表現はおかしいな。これじゃ、世の中にギタリストはいないことになってしまう)と聞いていたものだから、全然真っ当に取り組もうとしなかった。違う方面から練習しようとした。

 だから、結局私がFを押さえられるようになったのは、Fを練習したからというより、違う曲をやってるうちにできたというような感じで、だから本当にできないことがあったら、回り道をしていたのだ。

 ちなみに、今でもFは苦手。『インスピレイション』に関しても、弾けるようにはなっていない。

最初の練習内容

 最初の数ヶ月は、最初にいったように本当にちょっとずつ、それこそ蝶々を弾くだけみたいな練習しかしていなかった。『アコースティック・ギターが弾ける本』は本当に初心者向けの、買うに及ばぬ本と考えていたから、図書館から借りていた。だから、今目次を確認できないのだが、この本の中程から終わりにかけてスケール練習の章があって、シャープはよっつ、フラットはふたつ? くらいまでのスケールが載っていて、このスケールに関してはちゃんと暗譜して弾けるようにした。いや、暗譜してというか、当時は楽譜見て弾けなかったから、覚えるほかなかったのだ。

 このスケール、確か2オクターブくらいしかなくて、本当に簡単なやつだったと記憶している。長調と短調はあったと思う。つまり、それくらい覚えていない。今、楽譜を見たらきっとすぐに弾けると思う。だって、今やってるスケールは全調、指板の下から上までくまなく使うようなやつだから。当時の私は、これ、できなかった。シャープ、フラットの少ないローポジションスケールならなんとかなったけど、全部くまなく弾けるなんて無理だった。今日はこの調だけと決めて、まずは長調をひとつずつ、それが終われば短調をひとつずつ。ローポジションが弾けるようになって、それからやっとハイポジションに移行した。

 ホセ・ルイス・ゴンサレスの『ギター・テクニック・ノート』は、ウクレレを弾いている私を見て、ギター科の学生が教えてくれた本だ。だから、2003年の2月ころにこれを手に入れたはず。今も私はこれをやっていて、ようやくアルペジオの章が終わろうとしている。それくらいスローペース。けれど、最初の本からすればやらされている内容はがっつりと増えているのだから、まあこんなところだろうとも思っている。

最初の練習時間

 ギターをはじめた当初は、いきなり最初から頑張ると指を痛めるかも知れないと思って、無理をしようとはしなかった。ちょっとずつ、それこそ指先が痛くなってきて、関節の痛みや手の疲れが出始めたら休むようにしていた。指先が硬くなって、豆がつぶれて、それでも弾いていたのだが、でもまあ、このへんはそれほどつらくはなかった。いや、忘れてるのかも。

 多分、私はギター以前にもいろいろ楽器をやっていたから、運指に関しては多少有利だったのではないかと思っている。しかし、ピアノ(へぼだったが)にしても、管楽器にしても、ギターとはまるで違う。ピアノは鍵盤を押さえる技術が要求され、管楽器は音孔を確実にふさぐ技術が要求された。しかしギターはこのふたつとは極端に違って、あの弦という細くてふらふらしているものを確実に押さえ、しかもしっかりと押さえなければいけないという、なんて原始的なんだろう、弦楽器って。押さえが弱いと音がちゃんと鳴らんから、どうしても力むよなあ。だから、ギターをはじめて1年目2年目あたりでは、指の痛みに悩まされた。腕や肘あたりまで痛くなるようなら腱鞘炎の怖れがある。こういうときは、思い切って休んだ。無理はしない。指全体が痛んだときも休んだが、これは後から考えると筋肉痛だったのだ。弾いときゃよかった。まあ、最初はわからんもんなんだよ。

 今日はどうにも話がずれていかんな。時間だよ、時間。

 最初の練習時間は、弾くものもそんなになかったから、あまり長くなかった。それこそ単純な撥弦練習をm-i-m-i。それだけで15分とかかけて、休み休みで1時間ほど弾いて、それで終わりだったんじゃないかな。

 最初はとにかく簡単に疲れて、疲れたら休憩。休んだら再び弾きはじめて、どうせすぐに疲れるから、だからまた休憩。これの繰り返し、1時間程度でやめる。だんだん弾ける時間は延びてきて、最初のひと月で1時間は超えたろう。けど、そんなもんだ。最初の1年は1時間から2時間程度が限界で、だから他のことをできる時間があった。ところが、2年目3年目になると連続して弾ける時間が延びてきて、今は体力さえ許せば8時間くらいは弾けるから(ただしこれをやると、次の日、人間が馬鹿になって使い物にならなくなる。8時間はやり過ぎだと思う)、いろいろに費やす時間がなくなって困っている。まあ、これは私事だ。

 そんなわけで、最初からとばさず、ゆっくりのんびりといくのがよいんじゃないだろうか。腱鞘炎は癖になるから、あんまり最初に無理をして、故障しやすい身体を作ってしまったら後々がもったいないから、まずは程々に、身体壊さない程度に。


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公開日:2005.11.03
最終更新日:2005.11.03
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