私のお気に入り

2003年


UCCカフェメルカードという店

 JR京都駅に隣接する(というか駅ビルか)、JR京都伊勢丹。この地下一階にあるUCC直営のコーヒーショップ、UCCカフェメルカードはお勧め。スペースの半分にコーヒー豆やカップ等コーヒー関連商品を商っていて、奥の半分が喫茶スペースになっている。席数が少ないので、込んでるかも知れないけれど、結構落ち着いてゆっくりコーヒーを楽しむことのできる、ちょっとした穴場感のあるよい雰囲気が嬉しい店だ。

 この店のいいところは、なんといってもコーヒーを目の前で挽いて、ドリップしてくれるところだろう。なかなか豆から挽いてくれるところは少ないし、それにUCC直営だものだからコーヒーももちろんおいしい。そんなに高くないから、気軽に寄ってコーヒーを味わう。一人でもいいし二人でもいいし、でも三人四人となると厳しいなあ。少なめの人数で行きたい店だ。

 食べ物は基本的にワッフルのみで、で、そのワッフルも目の前で焼いてくれるから嬉しい。焼き立てのワッフルはさくさくしていて悪くない。ちょっと甘めのワッフルに濃いめのコーヒーをストレートで飲むのが好きだ。エスプレッソもいいし、カプチーノも、その時の気分で選べるコーヒーが主役。コーヒー好きで連れ立っていくのがきっといいに違いない。

 伊勢丹で買い物のついでにでも、京都散策から帰る途中にでも、ふと思い出して寄れるのが便利。ちょっと知ってると、コーヒー通っぽく勘違いしてもらえるかも知れないところもポイント高いかも。


ペプシ・ボトルキャップまた続報

 だいたい一週間おきくらいに四コマ誌が出て、そいつを買いにいくついでにペプシも買ってしまうわけだな。というわけで一週間でペプシを飲みきって、というか一生懸命飲んで、またペプシを買うという。ちょっと不毛かも知れんなあ。

 コンビニにいって、いつもペプシが箱入りで積んであるところへ向かうと、なんとあんだけあった箱が消えてしまっていた。ショック! そうかガンダムのキャンペーン終わったのかと思ってドリンク売り場にふらりいってみると、通常の並びで、ガンダム付きのペプシが売られていた。

 もうそろそろ潮時かもなあ。じゃあここはきりがいいように四本買っておこう。今までの六体と足して十体になる。とふと見ればダイエットペプシとやらがある。今回はこいつと通常のを二本ずつ買うとするか。

 買えって早速開けてみると、ひとつ目はシャア専用ゲルググ。おお、素晴らしい。これで赤いモビルスーツが全部揃った。後はジオングがあれば完璧じゃないか。ふたつ目を開けると、ありゃ、なんだこのグレイのオールバックは。ああ、ギレン・ザビじゃあないか。こりゃだぶってしまったなあ。一応買うときに、モビルスーツらしいのを選んだつもりなのに、ちょっとショックだった。

 残りのふたつはドムとズゴック量産タイプ。うん、いい感じじゃないか。ジオン・モビルスーツは格好いいなあ。特にバズーカをささげ持って巡航態勢をとったドムのほれぼれするフォルムったらないね。三体ほど揃えて並べてやったらきっといい感じになる。と、どれほど集めるつもりでいるのだろう。

 ところで、早速飲んでみたダイエット・ペプシ。ありゃ、駄目だ。コーラ自体がそれほど好みじゃないところに、この味も素っ気もないのは厳しいものがある。舌がしびれるまずさだ。

 困ったなあ、まだ一本残ってるよ……。


ペプシ・ボトルキャップ続報

 日頃はペプシなんて全然飲まないものだから、この間買った三本がしっかり一週間もってしまった。それをやっと飲み終えて、だからというわけではないのだが続けてもう三本を買ってしまった。

 買うときに、こういうことは止そうと思っていたのに、袋をなにげないしぐさで触っていくと、ひとつめ、みっつめに細いパーツが感じられたのでモビルスーツとわかったのだが種類までは分からない。しかし袋のふたつめがやけに薄っぺらかったのでコアブースターと分かって、急にいやになった。コアブースターが嫌というのではなくて、袋を開ける前に中身が分かっているというのがいやだったのだ。つまらないと思った。だから、全然違う場所から三本抜いて買って帰った。

 帰宅後、なにをするよりも前に袋を開けていった。ひとつ目はやけに丸みがあって、胸像か、それもザクかなにかと思っていたらエルメスだった。まだシャアの呪いが残っているのか? そしてふたつ目を開けようとすると、その寸前に中身がわかった。薄っぺらい。コアブースターだ。そしてみっつめも感触からモビルスーツでないことが分かり、開けてみるとギレン・ザビだった。正直モビルスーツがないというのはちょっと残念、なによりロボット好きの私である。

 実をいうと続けて買おうとは思っていなかった。こういうのは、自分の性格上、危ないと分かっているので手を出したくない。意地になれば全種類集めるまで頑張ってしまうもんだから、けどちょっと危ない傾向がある。どうしたもんかなあ。


CM対決 CANON vs EPSON

 今、というかちょっと前から、二大プリンタメーカーの繰り広げるCM対決が熱い。一方は光学機器からパソコン周辺機器まで手広く扱うキヤノン。そしてもう一方は、パソコンはプリンタの周辺機器であるというまさに逆転の発想が現在を築いたエプソン。この両者の送るテレビCMが、なかなかによいのだ。おじさんやられまくり。

 最近はどこの企業でも広告のウェイトを大きくとっているので、ネットで情報を集めることができてとても便利。それはキヤノンでもエプソンでも同様、と思って探してみたら簡単に見付かった。というわけで、まずは説明するより見てもらったほうが早い。

キヤノン
Satera 広告ギャラリー
エプソン
I LOVE EPSON TV-CM

 キヤノンの人は矢田亜希子さんというらしい。普通なら綺麗な人ですね、で終わってしまいそうな感じなのだが、ちょっと一味違って、15秒バージョン二人目、多分大学の研究員がなかなかによい、どころかすごくいい。サイト情報によると、机の本の山を吹き飛ばすのは予定になかったらしく、そのアクシデント感が非常によく出ていて、それがまたいい。筆舌にあらわせないほどよい。

 エプソンの人は柴咲コウさんらしい。水を浴びて、いいのよー、の人だ。力の抜けた笑顔に口調、世間擦れしないのんびり加減さが実によい。あかぬけない三つ編みなんか、最高じゃないか。以前の医者の人もこの人だったみたいだけど、それよりも今回の方がずっとよかった。言い様のないほどよい。

 そういえばプリンタとは関係ないんだけど、クロレッツウェイトレスもいい感じだ。冨永愛というモデルを職業にする人みたいだけど、端正すぎるくらいの顔に平行四辺形のきつ目が実に素敵だ。

 とまあ、それだけ。みんなそれぞれにいいんだけど、強いてどれを一番にするかといわれるとキヤノンかなあ。うちのプリンタもキヤノンだし。


ペプシ・ボトルキャップ

 四コマ誌を買いにコンビニに自転車走らせて、目的の雑誌はすぐに見付かったもんだからレジで清算終えたら、レジ横に箱入りのペプシボトルが積み上げられていた。ボトルの首には黄色い袋がつけられていて、いつものおまけである。ひょっこりひょうたん島の人形を何個かもらったっけ、でもひょうたん島の袋は青だったから、新しいシリーズになったんだろうと見たら、ひょうたん島どころかガンダムになってしまっていた。

 なんというか、僕の世代というのはとりわけこのガンダムに弱い世代というか、ガンプラ(ガンダムのプラモデル)を集めてみたり、ガチャガチャに興じてみたり、漫画が出ては気になって、バンダイのクソゲーに泣かされて……、そんな共通体験を持っている人はそれこそごまんといる。一体なにがどこに働きかけるのか、ガンダムという誘惑はあまりにも大きくて、いつもは買わないペプシを買ってしまった。しかも三本も。

 うちに帰ってから気付いたんだけど、今回はボトルキャップだそうで、ひょうたん島と同じくただのフィギュアかと思っていたのでちょっと残念だった。でもいいや、開けてみよう。乱暴に開けてもよさそうなところをわざわざはさみを持ってきて、そうっと開ける。袋後ろにHEADの文字もあったのでキャラクターの胸像もあるみたいだけど、人物はちょっと嫌だなあ。セイラさんならまあまあ、カイ・シデンならうれしい。けれどハヤトだったりしたらショックだなあ。でもなによりもモビルスーツがいい。でも欲しいものなど、そうそう当たるものではない。

 ひとつ目を開けた。赤い! バズーカ持ってる! ザクだよ、ザク。MS-06Sだよ。これはいいものだ。期待しつつふたつ目を開ける。運はひとつ目で使い切ってるだろうから、次はもうどうしようもないものと覚悟しながら、だが、赤い! 爪がついてる! ズゴックだよズゴック。私は運がいい。

 さて、こうもシャア専用が続けば、次はゲルググかと思ったりもするんだろうが、世の中そううまくいくものではない。袋を開けると、中身は明らかにモビルスーツと違っている。人の頭だ! 黄色い、ということは金髪、――レベッカ・宮本かはたまたアナ・コッポラか! んなわきゃあない、セイラさんですよ。セイラといえば、アルテイシア・ソム・ダイクン。シャア(キャスバル・レム・ダイクン)の妹じゃないですか。

 というわけで、九月六日はシャア記念日。


ケーキの耳

 商店街を入って左(駅方向からだと、出口そば右手)、小さな、けれど個人商店というほどまで小さくはないケーキ屋があって、そこがケーキ製作の過程で生じた端をパックに詰めて売っているのだよ。一パック150円から200円くらいで、普通のケーキ二切れ分くらいはあるんじゃないかな。ともかく安い、当然ながら味は変わらない。ケーキ食べたければ耳を買うのがお得というものだ。

 売られているのは、必然的に天板ケーキということになる。だって丸形スポンジだとまわりを切るなんてことはありえないし、シュー生地やパイの類いもまとまって無駄が出ることはない。だから天板ケーキ。オーブン天板に生地を流し込んで、焼けた薄いケーキをクリームで挟んで積み重ねるとか、そういうケーキは端を落とさないといけないから、それが耳としてあまってしまうわけだ。

 ケーキの種類も色々あって、お気に入りはコーヒームースとラズベリーチョコケーキだ。スポンジにのっかったコーヒームース、表面にはゼリーの薄膜。チョコレートスポンジにクリームが挟まれ最上面にラズベリーのゼリー。これがパックにみっしり詰まっていて、食べるとおいしい。なのに安い。最高だ。

 そういえば、昔し八ッ橋の割れたのにこってたこともあったような…… こういう食品アウトレットというやつは、なにか人の心を躍らせるなにかを持ってるみたいだな。


福引き

 福引きが好きなんだ。それも思いがけず買物をした商店街とかショッピングモールとかあるいはマーケットプレイスとかで、福引券どーぞみたいな感じでもらえる、そういう感じの福引きが好きで、その上福引きががらがらだとなおうれしい。ちなみにこのがらがら、正式名称は抽選器という。抽選器なんてつまんないーっ、つうわけであれはがらがらです。

 福引きのなにがうれしいのかというと、なにかが当たるというそのわくわく感だ。当たりが旅行券なんかだと残ってる有給が何日で、なんて思ってみたり、でもやっぱりうれしいのは商品券だね。特に楽器屋が入ってるところの福引きで特等商品券なんかだと、あの店頭にぶら下がってたあれ(例えばアーチトップギター)を手に入れてやろうか、それともウィンドウに飾られていたこっち(例えばリゾネーターギター)にしようかなどと、捕らぬ狸の皮算用も甚だしい。

 どうせ当たらないのは分かってるんだから、あんまり期待したら心身に毒と、あまり考えないようにするんだけれど、福引き好きの血は騒ぐんだね。馬鹿だあほだと分かってるんだけど、思ってしまうのは仕方がないんだね。

 そして、まあ当たったとしても末等のティッシュペーパーだとかそういうので、でももらえるだけいいかあ。ちょっと凝ったもんだったりすると、末等でもうれしいことには違いないもんな。


午後の紅茶TV CM

 最近やっている午後の紅茶のテレビCMは、ちょっとでもかかると手を止めてみてしまったりして、やっぱりちょっと気になっているんだろう。気になっているのはCMで使われている歌で、正直うまいなと思った。突っ込み気味にきちんと拍を踏めているもんだから、なかなかあんなふうには歌えるもんではないよと思って、かかると手を止めて聞いてしまう。

 歌っているのは松浦亜弥で、プリッツのCMではスモーク・オン・ザ・ウォーターなんかをやっててこちらは大嫌いだった。なんというひどい歌い方するんだと思っていたのだけれど、午後の紅茶ではまったく違う雰囲気で出てくるのだから、芸の幅が広いなと見直しながら、ちょっとこの人を好きになったように思う。

 というわけで、キリンのサイトでそのCMを見ることができる。いや、あえてこうして紹介しなくても大抵の人はもう見たことがあると思うんだけども。まあ、一応。で、私の好きなパターンはシズル編というらしく、シズルってなんだよといいながら、やはりこういう場に押しだされる人たちで、さらには評価を得て残っている人たちというのは、場によって作り上げられつつそれだけの結果を出していくのだなと思う。

 と思って散々CMを見たら、ちょっと飽きてしまった。いや、まあそんなに見るのがいかんか。


エアモック購入

 そして、買ってしまった。

 エアモックを置いているスポーツ用品店が最寄り駅前にあって、以前からその売れ行き動向を気にしていたんだけど、値を下げて八千円で売られて、しかも会員になったらさらに一割引。買うかと思い立って購入にこぎ着けた。考えてみれば買うと決めていた節もあったので、いつ踏み切るかだけが問題だったと言えるだろう。

 色はSoft grey、と言うとなんかよく分からんけど、簡単に言えば明るい灰色。以前のモデルが濃い茶だったので、対照的で悪くない。これからはこの両モデルを合わせて履いていきたい。

 新しいエアモックは、足を包む感じはタイトで、靴底はまだ減ってないから足裏の感覚がしっかりして、妙な感じ。エアモックの特徴は、足裏で地面の感触を捉えられるということだと思っているので、ちょっとこのあたりは馴染みにくい。いや、じき慣れるだろう。

 エアモックをはじめて買ったときは、駅のホームを走って点字パネルを踏み、あまりの踵の痛みにまいったものだったが、慣れてしまうとこの薄い底の感触が気持ち良くなってくる。歩くのが嬉しくなる靴なのだ。

 以前のモックは五年持ってるから、次を買うのもまた五年後か。その頃市場にあるだろうか。


エアモック

 エアモックと言われても一体なんだか分からないというのが一般だろう。エアモックというのは靴なのだ。しかもエアの冠されているところからお分かりの通り、エアマックスに代表されるナイキのハイテクシューズですよ。いや、分からんよね。それにハイテクっていう表現がすでに時代の彼方に追いやられて、今口にするのも恥ずかしい感じだ。

 エアモックというのはACGというラインに位置する靴で、ACGとはAll Conditions Gearの頭文字をとったものだ。特定のスポーツに使われる靴ではなくいろいろな局面で使われる靴――と理解しているのだけど実際のところはよく分からない。特に、エアモックという靴を見ると訳分からなさはより強まることだろう。

 エアモックにはシューレース(靴ひも)がなく、革製のアッパーはまったくの装飾抜きの丸っこいかたちをしていて思わず笑ってしまう雰囲気だ。人が言うには、パンみたいだとか芋みたいだとか。その上、足を入れるくるぶしのところかかと側に巾着みたくひもが出ていて、それで靴が脱げないようにする。見る人が見る人みんな面白がってくれる、ちょっとした面白アイテムである。

 とにかくこのまるんとした靴は非常に僕のお気に入りで、買ったのは1998年だったかな、つまり今年でもう五年目だというのにまだ履いている。右足の底が減って破れてしまっているというのにまだ履いている。気に入っているからである。

 なぜここまで気に入っているかといえば、履いた感じが非常に楽だからだろう。ひもがないため締めつけ感は皆無で、でもだからといってぶかぶかではない。外側の思いきった質素さとは違い、内側には伸び縮み素材でできた内袋(なんというんだろう)があってこれが足をやんわりと包み込む。履き心地は最高だ。さすがナイキと思わせるところである。

 とはいえ、穴が開いて随分になるし、いくらなんでもそろそろ本当に寿命もくるだろうと思うしで、実は新しいエアモックを欲しいと思っているのだが、この靴実は一万円もするので今となってはさすがに選びにくい。いやはや、どうしたもんだろうか、なんである。


四コマ漫画

 なんで世の中にはこんなに四コマ漫画雑誌というのがたくさん発行されているのだろう。と歎くくらいに多い。いや買わなきゃいいんですが、買ってしまうんですよ。好きなんです、四コマ漫画が。

 昔は四コマ漫画よりももっと読みでのあるストーリー漫画を好んでいたんだけど、ここ最近なぜか四コマ漫画にはまり中。特に芳文社のまんがタイム系列を好んで読んでいる。竹書房のまんがライフ系列を読まないのは購入誌がこれ以上増えると洒落にならないというだけの理由。だって秋月りすはかなり好きな漫画家であるし、タイムもライフも作家は半分くらい重なってるからどっちかを嫌ってどっちかを好むという話もない。単純に財布と収納の都合である。

 四コマ漫画はストーリー漫画と違い軽く読めたというのは昔の話で、最近の四コマ漫画は結構読みごたえのあるものも多く、単純にギャグ漫画と言い切るには内容の深くストーリーも深いものも少なくない。ストーリー漫画が昔の軽さを失った分、軽く読みごたえもそこそこある漫画という分野を四コマが負担しているのだろうか。ともあれ自分の求めるものは、今四コマ漫画というジャンルにあるのは確かなようである。

 好きなものは『おねがい朝倉さん』とか『派遣社員松島喜久治』とか、『ひまじん』『夫婦な生活』『ラディカル・ホスピタル』『千秋ツーフェイス』とか他山ほど。系列数誌にまたがり展開するもんだから追いかけるだけで大変で、でもそれでも買ってるんだからまんまと罠にはまったも同然である。はまって悔い無しと言ったところだろうか。


うたた寝

 本当のところを言うとうたた寝は嫌いである。損した気がしてしまう。本当ならこの時間でやっておきたいことがあったはずなのに、うたうたと眠ってしまった。こんなところで寝るくらいなら布団に入って寝たほうが絶対いいはずなのに、それなのにうたうたと寝続けてしまった。

 大損だ! けれどうたた寝ってどうしてあんなに気持ちいいんだろう。目覚めたときに暖房も消えて寒々としていたら寂しさも悲しさもひとしおだけれども、暖かいところでのうたた寝。寝転がっていても座って机に突っ伏していても、うたた寝してる間はとにかくこの世の天国なのだ。

 睡眠のメカニズムから言うと十五分から二十分くらいの仮眠が一番いいらしいのだけれども、そう思って寝たとしてもどうしても一時間二時間と寝てしまう。必ず起きたいときは目覚まし時計じゃなくてキッチンタイマーを使うといい。けど、朝あの目覚ましの大音量にやすやすと耐える自分がキッチンタイマーで目覚めるなんてことはまずありえない。

 かくして、締め切り前でも、日課がまだでも、うたた寝が始まればもう取り返しつかなく天国気分で大損。でもまあこういうじだらくも人生には必要だ。


湯たんぽ

 僕はとにかく肩凝りしやすい体質のようで、肩腰どころか身体の至るところが頑と張って痛いやら重苦しいやらで仕方がないから、湯たんぽを入れて緩めることがしばしばである。凝りのひどいところに当てるのはもちろん、肝臓を温めるのが疲れにはよいというので、腹から背から肝臓のある辺に湯たんぽを当てて、しんどさ紛らわせながら暮らしている。現に今も腹に湯たんぽを抱えてこれを書いている。先ほどなどは背に湯たんぽ腹には電気カーペットで、裏表から温めついつい寝入ってしまった。

 湯たんぽといえば、金属でできたものを思い出す人もいるかも知れない。けれどうちにはアルマイト製の伝統的なのは一度もなくって、自分が物心ついたときには、プラスチック製のがあるだけだった。今はそのプラスチック製も使わなくなって、ゴム製のものを使っている。見ればfashyと字が書かれている。fashyというのはドイツの会社のようで、水まわりの製品を作っているらしい。ともあれここのゴム製湯たんぽは他社のものとは違い100度の温度に耐えるというのが触れ込みで、この方面では定評のある商品である。

 肩凝りがひどくなってくると、凝った部分ばかりか頭まで痛くなってくるしでとにかく困るから、時折緩めて凌ぐのが大事である。できれば全部筋肉を取り換えるか洗い張りでもしたいのだけど、そいつはちょっと無理そうだから、こういう湯たんぽなんかが重宝している。


ワゴンのたこ焼き、再び

 本屋に寄った帰りでした。バスに乗るかと国電の駅に歩いていく途中に、白いワゴンがたこ焼きを売っていました。いくらだろう。いつものたこ焼きワゴンとどっちが安いかといった下世話な興味でのぞいてみたら、こちらのワゴンのほうがずっと安くて一舟三百円。一舟には十二箇入り。すごい安いと驚くままに、一舟ちょうだい、おじさんに話しかけていました。

 こちらのおじさんは、なんかくたびれた感じの優しそうな雰囲気。この雰囲気に釣り込まれて、おっちゃんのとこ、ものすごい安いね、話しかけてみたら、ここは田舎やからなあ、とにこにこ笑って答えてくれた。焼いてる途中のたこ焼きを見れば、天かす(揚げ玉を関西ではこう言います)がたくさん入って、そうそう昔のたこ焼きはこんな風でした。おじさんが続けて言うには、やはりこのところ売れ行きは悪くって、もう店仕舞いせなあかんかも知れんわ、と淋しいことをおっしゃる。酔っぱらいが土産に買って帰ってくれたのが、不況で飲みにいく機会が激減したせいもあって、結局たこ焼きの売れ行きにも影響しているのです。

 おじさんはもう二十四年もここでたこ焼きを焼いて、世の中の移り変わりを眺めてきたのでした。たこ焼きはポリの船に並べられて、ビニル、そして緑の薄紙で巻かれてナイロン袋に入れられました。結局僕はバスに乗り遅れて、追加で買ったもう一舟をつつきながら、歩いて帰宅となりました。

 こうして食べたたこ焼きは、ちょっと昔風の懐かしい感じでした。子どもの頃、家族で作って食べたたこ焼きはどうだったか。うちのたこ焼きにも天かすがたくさん入って、きっとこんな感じだったかも知れません。天かす、紅生姜、蛸、ねぎ、キャベツ。たこ焼きは食べればどことなく切なくって、特にマヨネーズのかからない昔風ほどほんのりする。

 だもんで、また買いに来るから、おじさんは店を長く続けて欲しい。いつものたこ焼きワゴンも、こっちのワゴンも、みんな長く続けて欲しいと僕は思っているのです。


私のお気に入りへ トップページに戻る

公開日:2003.01.19
最終更新日:2003.12.21
webmaster@kototone.jp
Creative Commons License
こととねは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 - 継承 2.1 日本)の下でライセンスされています。